家づくりは 人づくり
最近、読んだ本のタイトルが「家をつくって 子を失う」平成10年初版で、著者・松田 妙子 発行・財)住宅産業研修財団。今回のタイトルは、帯封についていたコピーです。 少し過激に思えるものの、日頃の思いを簡潔に表現しているタイトルにひかれ手にした本です。 第一章の「戦後の住まいと家族」に始まり、第六章「子供部屋をめぐって」、結び「真の日本の住まいとは」で書きとめめられています。「住居は家族の幸せの容器」が持論で、住宅の供給にもたずわった筆者が、住まいの近代史を精査され、今日まで建築されてきた住まいは、合理的な設備や機能を追い求めて、便利さと引きかえに失ったものの大きさを見過ごしていないだろうかと、それは何なのかを強く訴えています。 『 家族の幸せと逆行するような社会現象がふえ、住宅の充足が心の充足にさっぱり役立ってない実態を見せつけられて、家の役割とは何か、という原点にたち返って再考をせまれることになった。 「衣食足りて礼節を知る」ということばがあるが、高度経済成長期以降の日本は「住足りて礼節を失う」の観を呈している。家族関係や子供たちのありさまを、かっての日本の住まいに生きていた淳風美俗とくらべてみれば、躾をはじめとして失われつつあるものに私は危機感をおぼえずにいられない。日本の将来を考えれば、何よりも子供たちのために、、住居と住まい方の見直しは今や急務となっている。』 -帯封まま- これから住まいを計画されている方の一助になる一冊かもしれません。